ごあいさつ                    

アルモニア・ギター協会(代表 湯下 節男)

 日本におけるクラシックギターの歴史の始まりは、明治時代の末ごろまで遡ることが出来るでしょう。西暦では20世紀初頭ということになります。ただ、その頃はまだ、いわば「神代」の時代で混沌の中にありました。つまりマンドリン合奏の伴奏役として存在していたためです。その呪縛(?)から離れ、独奏楽器として日本で広く認知されるのは1929(昭和4)年のセゴビア来朝以降のことと云っていいでしょう。このアンドレス・セゴビアの初めての来朝は、ギターに対する概念を大きく変えた一大事でした。ギターの演奏技術、音色、レパートリーそして楽器や弦に至るまで、ギターにかかわる様々な要諦が目の前で示されたのです。まさしく革命でした。

 当時(昭和初期)の日本で、クラシックギターの啓蒙に熱心だった先達が3人おりました。東京の武井守成、名古屋の中野二郎、そして仙台の澤口忠左衛門の三氏です。それぞれの蒐集した資料は、武井守成文庫、中野譜庫、アルモニア文庫として知られており、武井文庫は国立音楽大学に保存、中野譜庫は同志社大学に収蔵、公開されているとのことです。しかし、澤口忠左衛門のアルモニア文庫はこれまで散逸したものとされ、全貌を知ることが出来ませんでした。断片的には専門誌やギター関係者によって紹介されていますが、正確とは言えず偏に資料不在を嘆くのみでした。

 ところが昨年(平成22年)末、時を得たのか『アルモニア文庫』の所在が判明しました。そして資料継承者、澤口 衛氏のご好意で資料公開にご承諾いただきました。当面はWEB上で公開することとし、編集作業を進めてきましたが、そんな中、3月11日の東日本大震災が発生し作業は一時中断となりました。幸い資料には損傷なく、やっと余震も収まってきたのを機に編集再開となりました。

 今後は資料の整理と公開を並行していきますので、記事の更新は不定期にならざるを得ないことを予めお断りしておきます。

更新 2012.5.25   ◇『アルモニア』拾い読み<第3巻>アップしました。